地上で宇宙で大暴れ、こんな猫いるわけない『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』

煙草をふかす猫、宇宙で戦う猫、死なない猫、ただそこにいるだけで宇宙平和に役立っちゃう猫。かわいくて、不気味で、腹立たしくて、崇高で……こんな猫がいるわけない!「いや、うちの猫にそっくりだけど」と飼っている人なら言うだろう、日本オリジナル編集の海外猫SFアンソロジー。中村融さんの詳しい作品解説のおかげで、SF初心者も安心だ。40年近く邦訳が幻になっていたというフリッツ・ライバー「影の船」(浅倉久志訳)が読めるだけで元は取れる。黒猫キムのしゃべりには、心をわしづかみにされてしまうはず。この短篇が気に入ったら、哲学的トラ猫ガミッチが活躍する『跳躍者の時空』(河出書房新社)もぜひ!

桐谷 知未(ご近所翻訳者)

往来堂歴20年の翻訳者。冬眠世界SF、ジャスパー・フォード『雪降る夏空にきみと眠る(上・下)』、ユーモアロマンスシリーズ最終巻、M・C・ビートン『メイフェアの不運な屋敷に幕は下り』好評発売中。