見たいものだけを見るのが人間だから『帳簿の世界史』

 「会計が組み込まれた社会は繁栄する」という。なら、するべきことは決まった。伝票の処理を後回しにせず、いちいち入力する。こまごまとしたことがたまると、面倒くささのレベルが倍になってしまう。毎日少しずつ、様々なことが発生するたびに記帳していくのは、時間が細切れになって仕事の効率が悪いような気がするが、とんでもない、むしろ逆ということが、営業だけでなく経理もやらなくてはならなくなって身に染みた。
 会計による見通しのよさを妨げるのは、己の怠け癖といい加減さのみ。本書で描かれるような、キリスト教の神や専制君主と対峙して発展してきた時代に比べれば、なんと恵まれていることか。

笈入 建志(往来堂書店・店主)

皆様のおかげで2年半ぶりに「D坂文庫」を開催することができました。ありがとうございます。「往来堂書店・金曜夜のイベント」も月末を除いて開催中。詳細はwww.ohraido.com