十年ごとに読み返したい。『愛人 ラマン』

デュラスを教えてくれたのは母だった。
この本は、母と娘の話でもある。男と女の話でもあるし、戦争の話でもある。
読んでいると、シーンが断片的に並べられていて、それがつながっていくような映画を見ているような感覚になる。仏領インドシナの、湿度がある暑い靄の中に吸い込まれる。
そのときの自分の年齢や、それに付随する諸々を噛み締めながら、死ぬまで読みつづけたい一冊。その度に、今まで見落としていた文章を見つけて、共感するのだと思う。

乾 真裕子(往来堂書店スタッフ)