日常が確からしいものだなんて誰が言った?『コルサタル短篇集 悪魔の涎・追い求める男 他八篇』

例えば――「ということになっている」もの。朝、服(ということになっているもの)を着替えて電車(ということになっているもの)に乗る。仕事場(ということになっているもの)で書類(ということになっているもの)に目を通す。それらが私たちに日常を確かな、あるいは確からしいものだと思い込ませる。ふとオフィスの隅に見慣れないデスクが置かれている気がする。見慣れない誰かが見慣れない服を着て席についている。誰だ、あれは。ぎょっと顔を上げるといつも通りの風景。ああ、気のせいか…。背を向けた窓の外では世界がピンク色の液体になっている。迷い込んだのではなく最初から保証されていなかっただけだと、早めに気づきたい人へ。

はらだ 有彩(テキストレーター)

『東京23話』(@東京新聞ほっとweb)、『女ともだち』(@大和書房オンライン)、『ダメじゃないんじゃないんじゃない』(@カドブン)、『帰りに牛乳買ってきて』(@リノスタ)を連載中です。