この世とあの世のあわいを漂う不思議話『よこまち余話』

『漂砂のうたう』『浮世女房洒落日記』などの作品でその名を知る読者には、時代ものの書き手という印象の強い作家なのかもしれない。《ここは、「この世」の境が溶け出す場所ーー》……本文庫表四(カバー裏)の内容紹介に見えるこの一文に、本作の魅力が凝縮されている。かな書きの「よこまち」に「余話」を組合わせた書名も効いている。そう、大文字の物語ではなく、「余話」であることも本作の大きな魅力の一つなのだ。著者が幻想文学の書き手としても名手であることを示し、幻想好き不思議好きを大いに喜ばせた、あたたかな読後感をともなう連作短編集。

空犬太郎(空犬通信)

一二月一八日(水)に西荻窪の本屋さん、BREWBOOKSで、音楽をテーマにしたトークイベントをアルテスパブリッシング鈴木さん、夏葉社島田さんの3人で開催します。往来堂書店でもやりたいなあ。