今だから読みたいディストピア『献灯使』

 卓越した言葉の力で描かれたディストピア小説の一つの極み。
 大災害(と思われる何か)が起きた後の日本、壮健でいつまでも死ねない老人 義郎と、脆く虚弱な身体の曾孫 無名、悲惨な状況なのにユーモラスに描かれる二人の暮らしを読み進めると、壊れた社会の姿が亡霊のように現れては消える。
今現在の日本だからこそ、読むに値する一冊だと思う。

箱崎 なぎさ(ギャラリー猫町)