人生はキャッチボール、かな。『ぼくのボールが君に届けば』

 ある時ふと(キャッチボールっていいな)と思った。一対一。相手に向かってまっすぐ投げる。受け取ってはちょっとボールを確かめるように見つめてから投げ返す。その仕草が、テニスやバレーボールのそれとは違うように思えたのだ。そんな時にこの本と目があった。野球好きで知られる著者が、キャッチボールをテーマに九つ(実際にはそれ以上)の人生を見せてくれる。「どんまい」には何度読んでも泣かされてしまう。伊集院静が描く子どもが大好きなのだ。「風鈴」には胸がしめつけられ、「雨が好き」の219〜220頁の美しい描写には、自分の記憶を重ね合わせ幸せな気持ちになる。
 短編の妙も味わいつつ、ゆっくり読みたい一冊。

広瀬 薫(京阪神エルマガジン社・東京販売部)

弊社刊『京都おかず菜時記』『季節の野菜と果物でかんたんおつまみ』の著者・小平泰子(こひらやすこ)さんが、NHK「きょうの料理」に出演中です。そして、3冊目のレシピ本も編集中! お楽しみに。