暴力的な分断装置で見る、驚愕の近現代史!『鉄条網の歴史』

アメリカで家畜から農作物を守るために生まれた、鉄線にトゲになる短い鉄線を巻いただけの「鉄条網」。このシンプルでローテクな道具が、「短時間に、広大な面積を、安価に、厳重に追い込む」最凶の機能を人類にもたらした。いつしか家畜ではなく人に対する装置として、先住民居留地やアウシュビッツ収容所、各地の難民収容所、そしてアメリカとメキシコの国境を、容赦なく分断していく。報道機関や国際機関に勤務した経験を持つ父娘が共著で記す、現地取材を踏まえての鋭敏な世界裏面史。人間の強欲と結びつくことで、シンプルな道具の誕生が世界を変えていく。思いがけないところからガツンと頭をやられる衝撃の一冊です。

足立 真穂(新潮社/HONZ)

今年は『吃音』(近藤雄生著)、『世界のすごいお葬式』(ケイトリン・ドーティ著、池田真紀子訳)『発酵野郎!』(鈴木成宗著)『ようかん』(虎屋文庫著)等を出しました。HONZ月イチレビューも書いています〜