考古ロマンを吹き飛ばす、人間ドラマ『発掘狂騒史 ――「岩宿」から「神の手」まで』

『発掘狂騒史 ――「岩宿」から「神の手」まで』(上原 善広  新潮文庫/590円 + 税

考古ロマンを吹き飛ばす、人間ドラマ

相澤忠洋の「岩宿の発見」から藤村新一の「旧石器捏造」まで、人物を中心に旧石器の発掘史を辿ったノンフィクション。輝かしい発掘成果の裏には、学閥や学者間の暗闘があり、エリート学者が在野のアマチュアを手足とし、ときに彼らの功績を横取りしてきた実態が描かれる。遺跡・遺物を対象とし、本来とても実証的な学問であるはずの考古学が、「登呂の鬼」(杉原荘介)や「旧石器の神様」(芹沢長介)に支配され、いつしか「神の手」(藤村新一)を求めるに至る――、そんなファンタジー顔負けの構図が、当事者への取材と残された証言から、みるみる浮かび上がってくる。

藤平 歩/中央公論新社

高校時代は考古学者になるのが夢でした。中央公論社(当時)の全集『日本の古代』を毎月購読していたのもこの頃です。今は、その出版社で文芸書を編集しています。