大正から戦後の庶民の暮らしを知る東京物語。『私の東京地図』

『私の東京地図』(佐多 稲子講談社文芸文庫/1400円 + 税

大正から戦後の庶民の暮らしを知る東京物語。

「焼けた東京の街に立って、私は私の地図を展げる。私の中に染みついたしまった地図は、私自身の姿だ」。この本を知ったきっかけは先日、トークショーで作家・小沢信男さんが本書を東京を知る本として選んだからだ。佐多稲子が終戦後、焼け崩れた東京の街に立って書いた12の短編で編まれている。描かれているのは父に連れられて長崎から上京した1915年ごろから敗戦までの30年間の東京。佐多はまだ11歳だったが、すぐにキャラメル工場で働き始め、その後、向島、神楽坂、目黒、駒込、根岸……と仕事を変えながら、暮らす場所も転々としてきた。読んでいると馴染みの場所の「過去」が目の前に甦る。風景だけでなく、音も匂いもいっしょに。

吉上 恭太/サウダージな夜@古書ほうろう

古書ほうろうで「サウダージな夜」という、ささやかなライブをやっています。それから近日中にセカンドアルバム『ある日の続き』が出ます。よろしくお願いします。