十蘭の短篇を読んだことがないという不幸!『久生十蘭短篇選』

『久生十蘭短篇選』(久生 十蘭岩波書店/910円 + 税

十蘭の短篇を読んだことがないという不幸!

完璧な短篇小説とはどういうものか。定義しろと言われたら難しいが、見本をと言われたら、この十蘭の短編小説集を差し出せばいい。現代、過去の歴史、現実、幻想、恋愛、残酷、ユーモア、叙情、サスペンス、ギャンブル…さまざまな小説群に共通するのはスタイリッシュでモダンで軽やかなこと。そこには、娯楽性と芸術性の絶妙なバランスがある。未読の人には「こんなにも面白い小説があったのか!」と驚いてほしい。十蘭の小説に魅入られた人たちを「ジュウラニアン」あるいは「ジュラニアン」と呼ぶ。この珠玉の短篇集を読み終わったときに、あなたも、そんな熱狂的なファンの1人になっていることだろう。

根岸 哲也/本のために家を建てた大学職員

根岸哲也(本のために家を建てた大学職員) 家の詳細は、『これからの本屋』(書肆汽水域)、「本の雑誌」2014年7月号「夢の本棚住宅を建てるまで」、岡崎武志さんの『蔵書の苦しみ』(光文社新書)等で。