こんな特別な時間を、僕は娘と過ごせるのだろうか。『パパの電話を待ちながら』

『パパの電話を待ちながら』(ジャンニ・ロダーリ講談社文庫/770円 + 税

こんな特別な時間を、僕は娘と過ごせるのだろうか。

どのページからでもいいから、このまま開いて読んでみてください。とても短いお話に滋味がぎゅっと詰まっていて、どこを読んでも豊かな後味が続くはず。薬のセールスマン、ビアンキさんは娘のために、旅先から電話で毎晩ひとつ聞かせてくれる寓話たちは、昔話の定型に沿って心を温めてくれることもあれば、シュルレアリスムの一枚絵のように日常の見慣れた風景を不意にグニャリと捻りあげる小品もあり、救いのない悲哀の只中に取り残されることも。どんなお話にせよ、いつも穏やかな語り口で受話器越しに届けられる声は、なまじの映画よりも鮮やかに世界を幻視させます。そこは宮沢賢治や星新一のすぐ近くに存在するどこかです。

久禮 亮太/フリーランス書店員・久禮書店

ブックカフェ・神楽坂モノガタリの本屋担当をやっています。坂歩きの休憩がてら、書棚を見に来てください。お茶をしながら、ゆっくり読んで選んでください。買って帰ることもできますよ!