人の心の歪みは直せない。その事実の怖さ。『19歳 一家四人惨殺犯の告白』

『19歳 一家四人惨殺犯の告白』(永瀬 隼介角川文庫/560円 + 税)

人の心の歪みは直せない。その事実の怖さ。

ネタバレを承知で結論から書くが、本書の主人公である一家四人惨殺を犯した元少年は、最終的には何も反省していない。著者はこの凶行へ及んだ主人公の心の闇を知り、そして反省の弁を引き出すべく、足繁く拘置所へ面会に通い対話を重ね、親類縁者を訪ね、元妻との面会に際してははるばるマニラまでも赴いた。尽くせる手は尽くし、主人公の生き様の輪郭は明らかに出来たものの、本心から罪を償う言葉はついに引き出せていない。物語であれば許されない結末だが、これが圧倒的な事実として顕わにされるのがノンフィクションの凄さであり本領だ。同じ人間同士でも解り合えないこともある、その最果てが、事件の凄惨さ以上に怖いと思わせられる力作。

サトミ/元往来堂スタッフ

千駄木を離れて6年、いろいろ流浪の末、今は羽田空港にいます。次のD坂の時にはどこにいるだろう。